アピラボbyメーキャップラバーズ

歯科医師の私が臨床化粧療法士®として出来る事

初めまして、臨床化粧療法士®︎の松村万由と申します。

 

普段は、福岡県内で歯科医師として働いていますが、医療と美容・整容の関わりに興味が湧いたことをきっかけに2024年8月に臨床化粧療法士®︎の資格を取得し、少しずつではありますが活動を始めました。

 

臨床化粧療法士®︎とは、外見的なお悩みをお持ちの方に対して見た目のケアを行うための専門資格者で、医療機関内外での患者さんへの対峙はもちろんのこと、例えば傷痕やタトゥーなどのカバーメイクを要するウェディングヘアメイクの現場や、エンゼルメイクといわれるような湯灌の現場、高齢者施設や障害福祉の現場など、その活動の幅は多岐に渡ります。

 

今回が初めての寄稿となりますので、まずは、私が臨床化粧療法士®︎を目指したきっかけについてから綴りたいと思います。

 

 

臨床化粧療法士®︎資格取得を目指したきっかけ

 

九州大学病院の口腔外科で臨床と研究に携わり、2022年4月から、福岡赤十字病院での勤務が開始。大学病院とは仕事内容も環境も大きく変わりました。

 

口腔外科の外来としての役割(主に智歯、残根、便宜抜歯やBP製剤開始前の口腔内精査、粘膜疾患、シェーグレン症候群の精査・診断やそのほか急患)も維持しつつ、周術期等口腔機能管理を拡充させるべく関係各所と準備し稼働させ、救急科に搬送されてくる口腔外・口腔内損傷への対応などに2024年3月まで従事しました。

 

その中でも、化学療法中の方々の口腔内管理を担うことも多く、激しい口腔粘膜炎、脱毛、倦怠感、体重減少などによって、体内で起こる変化と外見における変化の両方を患者さんは抱えている現実を目の当たりにしました。

患者さんが抱いている外見変化のお悩み

 

体内で起こる変化は、お医者さんが診てくれるけれども、見た目における変化に対して困っていることは、どこの部署の誰が共有して、患者さんのサポートをしているのだろう。

 

そのようなことを思いながら、いつものように化学療法中の50代の女性の口腔内を診察しました。

 

杖をつきながら、診療室に入ってくるので、いつものように介助しながら座って頂くと、両手の爪が綺麗で鮮明な赤色、例えるなら、春に咲くチューリップのような瑞々しさを感じさせる赤色。

 

思わず、「とても綺麗な爪ですね!!」と声をかけると、

 

あ!これね。ありがとう。これ、付け爪なの。自分の爪は、化学療法の副作用で中途半端に禿げてしまって、その爪が顔に当たると、顔が血だらけになるから、付け爪をつければ楽になるかなって思って、Amazonで買ってみたの。

とのこと。

 

私は、未だにこの時の事が忘れられません。

手を差し伸べられる存在でありたい

 

治療の過程で起こる外見の変化って、患者自身で解決方法を考えて、生活に取り入れている現実があることを初めて知りました。

 

そこから、院内の化学療法担当の看護師さん達にも、外見の変化に対する現状や取り組みを伺い、自分自身でも勉強してみたいと思うようになり、この臨床化粧療法士®︎という資格を取得しました。

臨床化粧療法士®としての初仕事

 

 

この資格取得をきっかけに、2024年10月27日第 1 回国際NMOSDサミットの中外製薬株式会社展示ブースで「健やかな肌と簡単メイクで前向きに!患者さんのためのメイク相談室」に臨床化粧療法士®︎として参加しました。

当日の展示パネルに、河村代表の名前に並ぶ自分の名前を見つけ、とても嬉しかったです。

 

#第1回福岡国際NMOSDサミット

 

NMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)とは

 

NMOSDとは、視神経脊髄炎スペクトラム障害の略称です。

 

日本では、患者数の少ない希少疾患で、発症年齢は、30代後半〜40代前半、女性に多く、日本では6500人の患者数と言われています。

 

病気の詳細や、今回、展示を担当させていただいたコンテンツの内容が以下のURLに解りやすくまとめられていますので、ぜひご参照ください。

中外製薬NMOSDonlone

 

 

メイク相談室で行ったこと

この相談室では、治療薬によって生じる肌や顔貌の変化に関することを始め、日々の美容や整容に関するお悩み・お困りごとを中心にお話を伺わせて頂きました。

 

#中外製薬展示室

 

その中でも多かったご相談内容は、

 

 

・そもそも、お化粧の仕方を教えて欲しい
・チークの入れ方がわからない
・血色が悪く見られることが多い
・赤みが目立つことが気になる
・乾燥肌で顔がヒリヒリする
・目の下のクマが気になる
・アイラインが引けない
・加齢や薬剤の副作用による顔貌の変化

 

 

お悩みは、本当に様々で外見だけでは気づけないことがあり、言葉にして伝えていただけることで、初めて共有ができます。

 

これらの項目に対して、臨床化粧療法士®の視点から、スキンケアの方法を一緒に確認し、悩み事を改善するためのメイクの仕方などを無理のない範囲(帰宅してからでも、すぐに始められるほど簡単な方法)で、河村代表とともにアドバイスをさせて頂きました。

 

#メイクのアドバイスをする河村代表
#患者さんのお話しを伺う松村

臨床化粧療法士®としての私の想い

 

アドバイスをきっかけにご自身の生活で、無理なく、継続できることを取り入れていただけると嬉しいなと思います。

 

お化粧は魔法ではないので、現状困っていることを、「なかったこと」にはできません。

 

でも、その悩みを少しでも和らげ、悩みが気になるその気持ちを小さくすることが出来ればと願っています。

 

患者さんのその悩みや困っていることに対する付き合い方もお話し頂き、逆にこちらが勉強になることも沢山ありました。

 

また、相談をしてくれたのは、患者さんだけでなく、イベントの開催に向けて準備してくださったスタッフさんにもお声をかけて頂き、美容・整容に纏わることを真面目に考えた1日でした。

 

 

#展示室内の特設フォトブースにて/左)河村代表・右)松村

 

美容・整容は、決して、一つの正しい答えはありません。

 

その人がその人らしく生きていくための、「ライフスタイルの一つ」だと思います。

 

ただ、それが、病気や疾患によって、形を変えたり、奪われたりすることで困っている方がいれば、サポートできるような臨床化粧療法士®を目指して行きたいです。

 

開催日は、ハロウィンが近い季節でしたので、特設フォトブースにはハロウィングッズがたくさん配置されていました。

 

ありがたいことに私たちのブースが想像の数倍の大盛況で、全然ハロウィン写真を撮る余裕が無かったため後加工を加えましたが、最後に季節感のある河村代表との記念写真を一枚。

 

 

最後までお読みいただいてありがとうございました。

 

続く連載もどうぞお楽しみに♪

この記事を書いた人

松村万由

臨床化粧療法士®︎/歯科医師
九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野 博士課程修了—口腔外科の臨床を通して、病気によって生じる見た目の変化に悩んでいる方が多い中、まだまだ社会にはその窓口が不足していることを実感し、化粧療法を学び始める。2024年臨床化粧療法士®︎資格取得。見た目における偏見に対する社会問題への取り組みや手術の瘢痕に対するカバーメイクなどの知識や技術を研鑽中。

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