アピラボbyメーキャップラバーズ

”美しさ”に縛られず、自由に生きていたいから。

 

”美しさ”ってなんだろう?

 

こんにちは、臨床化粧療法士®︎の渡邊明日香です。

 

“美しさ”という言葉を聞いて、みなさんは一番に何を思い浮かべますか?

 

花や緑の美しい自然の景色でしょうか。

美術館に展示された芸術作品の数々でしょうか。

 

わたしの場合、”美しさ”という言葉は、人の外見に強く結びついたイメージを持っています。

 

そして、これまでの経験から、この”美しさ”に縛られて苦しんでいる人を痛いほどたくさん見てきました。

 

本来なら”美しさ”は人を魅了し、人生に彩りを添えるものであるはずなのに。

 

“美しさ”に脅され、迫られ、傷つけられる人の多さにわたし自身も心を痛めるばかりです。

 

わたし達は、外見の”美しさ”とどのように向き合い、どのように生きていけば良いのでしょうか?

あなたはどんな顔を美しいと感じますか?

 

まずは、現代社会で我々が”美しい”と感じる外見について考えてみましょう。

 

あなたが「この人美しいな」と見惚れてしまうのはどんな人ですか?

 

髪に艶があり整っている人。

肌の透明感が高く血色が良い人。

指先まで手入れが行き届いている人。

 

条件は挙げるとキリがないと思います。

 

現代日本の、特に若い女性に求められる”美しさ”は、もっと細かくパーツごとに理想が決められている気がしますよね。

 

目は二重でぱっちり、瞳の色は黒よりも薄い方が良い。

鼻はスッと筋が通っていて、横顔が整っている方が良い。

人中は短く、唇の厚さも適度にある方が良い。

肌は極限まで白く、シミもシワもあってはならない。

身体に毛が生えていてはダメ、胸は大きくウエストは細く。

 

あなたの思い浮かべた”美しい”外見は、どんな姿をしていましたか?

 

上記のような条件に当てはまるものはあったでしょうか?

(そして不思議なことにその”美しい”外見は女性の姿形をしていませんか?)

 

その”美しさ”は誰のため?

 

わたしは”美しさ”に正解はないと思っています。

 

先に述べたような条件が当てはまっても良いし、全然違うポイントに”美しさ”を感じても良い。

 

一人ひとりが異なる感覚で人を”美しい”と感じられるのが、人間の素敵なところだと思うのです。

 

ただ、 残念ながらわたし達の”美しさ”は他者、或いはもっと大きな何かに制御され、導かれ、虐げられているように感じています。

 

典型的なのが脱毛や美容整形の広告ではないでしょうか。

 

毛が生えていることがまるで過ちかのように、ツルスベ肌で愛されようとわたし達に笑顔で語りかける女優さん。

そんなに高くないから高校生でも受けられるよ、二重にして人生変えようよ、と爽やかに駆け抜ける制服を着た女の子。

 

 

どちらも、間違ってはいないのでしょう。

 

あなたが、本当に、心から毛を根絶しぱっちり二重を手に入れたいと望むのであれば。

 

例えばあなたは、どうして脱毛したいと思いましたか?

例えばあなたは、どうして二重にしたいと思いましたか?

 

 

わたしは、この”美しさ”を手に入れたい理由をとても大切にした方が良いと考えています。

 

他でもない、あなた自身のために。

美容は売り物であることを忘れるべからず

 

 

脱毛や二重手術を筆頭に、美容業界は”美しさ”をわたし達に提供し続けてくれます。

 

ただし気をつけなければならないのは、美容業界はわたし達に「永遠に美を追求し続けてほしい」立場だということ。

 

ある商品が全人類を文字通り完璧に”美しく”してしまったら、商売あがったりですからね。

 

毎シーズン新しい商品を購入してもらったり新しい施術を受けてもらうために流行を生み出し、次から次へとわたし達を”美しさ”の渦の中に放り込む。

 

例えばこの頃は平行眉が流行っていますが、みなさんの中に純粋に「眉毛を平行にしたい!」と思って施術した方はいるでしょうか?

 

 

だれかの眉を参考にしませんでしたか?

だれかの言葉を参考にしませんでしたか?

数年前、どんな眉が流行っていたか思い出せますか?

その眉は今どんな評価をされているでしょうか?

 

 

美容は素晴らしいツールであると同時にビジネスだということを忘れずに、上手に活用したいものですね。

”美しさ”はあなた自身の中に

 

では、流行に囚われすぎず、心が感じる”美しさ”に従うにはどうしたら良いのでしょうか?

 

わたしが個人的に大切にしている指針をふたつご紹介します。

 

①時や場所が変わっても”美しい”と感じられるか

外見は時代や文化の影響を色濃く受けてその姿形を変えています。

 

平安時代の人々を描いた作品では、衣服が着物であることはもちろん、目は細く切長で輪郭もふくよかなものが大半です。

 

写真と違い絵画作品は作者の理想を反映しやすいので、当時良かれとされていた姿だと見ていいと思います。

 

今とは正反対ですね。 同じ日本でも、時の流れで”美しさ”の定義は大きく変わったようです。

 

同じ時代でも、例えば現代アメリカで”美しい”とされているメイクが日本で同じように受け入れられるでしょうか?

 

答えはNOだと思います。

 

わたし達はあまり鋭角な眉を好みませんし、まつ毛の角度やアイラインの長さには敏感です。

 

毎日メイクするのも日本人の特徴だと思います。

 

こんな風に時や場所で変化する”美しさ”に迫られた時、わたしは「これは今の流行だな」と割り切った上で自分も取り入れるか検討するところから始めるよう意識しています。

 

 

②3年後も同じものを”美しい”と感じられるか

では、流行だと割り切って自分の感覚に依って”美しさ”を上手に取り入れるにはどうしたらいいでしょうか。

 

例えば、わたしは左手の薬指に小さなタトゥーを入れましたが、その時はこんな風に想像しました。

 

3年後、5年後、そして10年後。

 

未来のわたしも、今のわたしと同じようにこのタトゥーに愛着を持てるかどうか。

 

タトゥーのように変わらないものでなくても、洋服ひとつ買うかどうか迷ったら3年後の自分を想像するようにしています。

 

3年後のわたしも、今のわたしと同じようにこの服を着たいと思っているかどうか。

 

何歳のわたしがどこに住んでいて仕事はこんな感じで休みの日はこんな風に過ごしてと、想像はより具体的な方が良いと思います。

 

そして想像上の3年後のわたしも「いいね!」と言ってくれたらGOサインです。

 

身体への侵襲性が高く、元に戻せない確率が高い時ほどゆっくり考える時間が必要だと思います。

おわりに

 

わたしは”美しさ”の底力を信じています。

 

だからこそ、こうして美容をツールにお仕事をしてきました。

 

ただ、”美しさ”の形は一人ひとり違って良いとも信じています。

 

だれかのためではなく、だれかに言われたからでもなく、だれかを見返すためでもない。

 

“美しさ”はあなた自身の中にあります。

 

美容をはじめ、外見にまつわるアイテムは社会に山ほど溢れています。

 

その一つひとつと、みなさんがどうか上手にお付き合いできますように。

 

心からの祈りを込めて。

この記事を書いた人

渡邊 明日香

臨床化粧療法士®/社会福祉士/精神保健福祉士
関西学院大学人間福祉学部社会学科卒。在学中より福祉・医療施設にてメイクやセラピーの提供を開始、これまで約400人の高齢者・障がい者と美容を楽しむ。2019年より湯灌師として約1000人の最期の身支度に携わり、エンゼルメイクの講師業にも精力的に取り組んでいる。

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