アピラボbyメーキャップラバーズ

どこに相談すればいい?義眼と目元の印象管理、メイクによる解決策!

こんにちは、臨床化粧療法士®の河村しおりです。

 

今回は、個別相談の事例をご紹介させていただきます。

 

 

義眼装着時のメイクや、目元のたるみなどによる印象の変化でお悩みのHさん。

どこに相談してよいかわからず、本当に困っていたんです。私と同じような状況の方々の救いになればと思うので、ぜひ記事にして発信してください。

 

このお言葉を大切に受け止めながら、綴ってゆきたいと思います。

 

 

義眼の生活で困ること

 

 

メイクだけじゃない、顔全体の悩み

 

「義眼」と一言でいっても、その理由や形状はさまざまなようです。

 

今回のケースは、いわゆる「かぶせ義眼」といって、失明した眼球の上に薄型の義眼をかぶせるタイプでした。

 

失明の原因は、長年患っている内部疾患系の病気とのことでしたが、進行がゆっくりだったため、義眼を装着し始めたのは、つい2年ほど前からとのこと。

 

外観を補完する目的と考えると、ある程度補えてはいるけれど、、、

 

と、この2年間の心境の変化や体感しているお悩みについて、Hさんが少しずつお話しをはじめてくださいました。

 

 

メイクはもともと大好き!自分なりに四苦八苦しながら、オリジナルの方法を見つけては試しの繰り返し。でも、やればやるほど、悪目立ちしてしまうんです。

 

正直、オリジナルの方法をあみ出すだなんて、すごいと思いました。

 

 

しかし、どうやら、悩みの種はメイクにとどまらないようで…。

 

 

・義眼の重みで、目の下の皮膚がたるんできている

・両目の大きさや眉の位置にも違いが出てきている

・義眼の方の目は何度も手術をしているせいか異常にまつ毛が濃い

・義眼の方の目だけ二重幅が広がってしまった

 

 

などなど、顔全体の印象にまでお悩みが波及していることがわかりました。

 

当たらず障らずな雰囲気が心の傷に

 

以前、Hさんは思い切り勇気を振り絞って、百貨店へ出向き、BAさんに相談してみたことがあったそうです。

 

でも、結果は思い通りとはゆかず、逆に心に傷を負ってしまいました。

 

なぜなら、終始一度も目の事には触れられなかったから

 

正直、とてもセンシティブな部分ですよね。

 

その時は、BAさんも戸惑ったことと思います。

 

良かれと思い、それが礼儀と思い、接していたことと思います。

 

 

結局、Hさんも、自分から言い出すことができず、ただうやむやな時間が過ぎてしまったと。

 

Hさん的には、きっともっとオープンに接して欲しかったんだと思います。

 

でも、これも私としては判断が難しい…。

 

オープンにすることが失礼にあたるケースも容易に想像がつきます。

 

 

人間同士の対話においては、何が一番正しいかなんていう答えが、先に出ることなんて無いと思っています。

 

言葉を話すとはいえ、人間も動物ですから、相手の息遣いや、雰囲気、温度感を探りながら距離感をはかってゆくものな気がします。

 

ただ、私は普段から臨床化粧療法士®として、「相手への理解」を一番念頭に置き、対峙しています。

 

なぜなら、いち患者の立場でもある私が同じ立場に立ったとき、一番に相手に求めるものだから。

 

メイクによる3つの解決策

 

さて、ここからは、実際に私がアドバイスをさせていただいた3つの解決策をご紹介します。

 

①顔のたるみをテープで補正

 

義眼の重みで目の下の皮膚にたるみが生じていました。

 

今回は、その補正のために、いわゆる「リフトアップテープ」の使用を提案しました。

 

コスプレから美容、芸能まで、結構幅広いジャンルで使われているのですが、まだあまり一般的ではないようです。

 

「リフトアップテープ」で検索をすると、対象商品が数多く出てきます。

 

具体的にどの商品をご案内したかは、ここでは差し控えますが、用途に合わせて商品を選べる環境であることは確かです。

 

目立ちにくいテープの貼り方や位置には、一定のコツが必要かと思われます。

 

テープの上からメイクも可能です。

 

踏まえて、アドバイスをさせていただきました。

 

②両目の大きさをアイメイクで補正

 

臨床化粧療法では、アイメイクによる印象管理というテーマがあります。

 

骨格とパーツバランスを鑑みながら、望ましいとされる印象に近づけてゆく技法です。

 

Hさんの場合、眉の描き方がとてもお上手で、アドバイスはほとんど不要でした。

 

たくさん試して、練習して、失敗しての繰り返しです(照)

 

と笑顔で話すHさん。

 

少しずつ心の距離が近づいてきた気がしました。

 

メイクによる印象管理には、数えきれないほど、さまざまな技法があります。

 

目の突出加減に合わせたアイシャドウの塗り方、アイラインの太さや、マスカラの量や箇所、フェイクライナーの使用など、色々とアドバイスをさせていただきましたが、

 

今回一番のポイントは、「主に義眼ではない方の目に施すこと!」です。

 

どうしても義眼の方の目をなんとかしようと思い込んでしまっていたようです。

 

なので、とても意外な反応をされていらっしゃいました。

 

義眼の方の目は、何かを施せば施すほど印象が強くなりがちです。

 

Hさんはただでさえ、化粧映えのする大きなお目目のお顔立ち。

 

やればやるほど、どこか、昭和のような古臭い厚塗りメイクになる気がして悩んでいる。

 

と、Hさん。

 

なるべくナチュラルな状態をお望みでした。

 

ですので、今回は、義眼の方の目はなるべくナチュラルな状態を保ちつつ、もう片方の目へのアイメイクにより印象をコントロールする手法を選びました。

 

③メイクにおいても正しいスキンケア習慣を

 

年齢とともに、衰えるのは肌だけではありません。

 

予想される骨の老化(※図1)に備えてスキンケアを見直してゆくこともとても大切です。

 

※図1

 

ただでさえ、たるんでゆく傾向にある肌に対し、異常刺激や摩擦を毎日のように与え続けると、当然のことながら、たるみの加速を助長します。

 

そこで、今回は

 

 

・クレンジングと洗顔方法の見直し

・ファンデーションや化粧下地を指で伸ばさないこと

・化粧水や乳液のつけ方

 

 

の3つのポイントに重点を置いてアドバイスをさせていただきました。

 

中でも、ファンデーションの塗り方に驚きと反省のご様子でした。

 

「メイク中もスキンケア♪」

 

ほんの少し心掛けるだけで、かなりの違いが出ると思います。

 

洗顔方法の動画を以下に共有しますので、よろしければ、皆さんも参考にしてみてください。

 

 

まとめ

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

今回はHさんのご意向もあり、詳しく書かせていただくことが出来ました。

 

臨床化粧療法士®は、あらゆる場所で日々さまざまなケースのクライアント様と対峙しています。

 

アピアランス(見た目・外観)にまつわるお悩みごとを、安心してご相談いただける場所を少しでも増やしてゆきたいと思っています。

 

このWEBサイトもそのひとつです。

 

人知れず、孤独にお悩みと闘っている方は、決して少なくないはずです。

 

私たち臨床化粧療法士®でよろしければ、せめてお気軽にご相談ください。

 

 

【参考】

Precious 10月号 小学館 2017,

 

 

この記事を書いた人

河村 しおり

臨床化粧療法士®
2002年指定難病SLE発病。一時寝たきりになるものの、長きに渡る闘病とリハビリの末、お化粧のちからにより社会復帰を果たす。2012年より理美容総合卸売業を経て、2017年4月、一般社団法人日本臨床化粧療法士協会を設立。学術研究に基づいたアピアランスケアの考え方を提唱。

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