N95マスクによる圧迫、肌荒れ…どうしたらいいの?
こんにちわ、甲斐陽子です。
突然ですが、みなさんはコロナ対策などで使用するN 95マスクを着用したことがありますか?
また、N 95を着用することでどのような肌トラブルが起こるか、想像が付くでしょうか?
私は理学療法士として急性期病院に勤めており、N95マスクを着用することによる肌荒れを経験しました。
今回は、臨床化粧療法士®︎としてその対処法、スキンケアのポイントについてお伝えしていきたいと思います。
N95による肌荒れって?
新型コロナウイルスの流行で「マスク肌荒れ」という言葉をよく耳にするようになりました。
一方、医療現場等で使用されているN 95マスクは、通常のマスクと同様の乾燥などの肌トラブルだけでなく、長時間着用することにより肌が強く圧迫され、赤みが残ってしまう問題があります。
N95を使用することによる肌の圧迫等のことを「医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)」※1と言います。
N95マスクの種類
現在日本で使用されているN95の種類は、大きく分けて3タイプあります。
N95で顔が圧迫?!
圧迫創傷の好発部位としては、鼻根部・頬骨・下顎部が挙げられます。
顔の形状やマスクのゴム位置によっても変わりますが、鼻根部は皮下組織が薄く、皮膚のすぐ下に骨があるので特に圧迫を受けやすかったり、カップ型の方は素材が固いためより圧がかかりやすいなどの問題があるのです。
圧迫を予防するには…
日本褥瘡学会危機管理委員会は、N95による圧迫創傷の予防として、ハイドロコロイドや被膜剤をマスクのエッジに当たる部分に貼付して、肌への負担を軽減させる方法を提案しています。
ハイドロコロイドとは、市販されているいわゆる『キズパワーパッド』などと同じ性質のものです。
日常で気を付けたいスキンケアのポイント
肌質改善に向けた6つのポイント
先述した予防方法を気軽に行うことができれば良いのですが、N 95は密着性が重要なので、このような対策は必ず各施設の感染担当へ確認が必要となります。
では、実際に圧迫創傷によって肌に赤みが生じた時、普段のスキンケアでどのようなポイントに気を付けたらよいでしょうか。
①皮膚を清潔に保つ
マスクだけでなく、帽子やフェイスシールドなども肌に触れるため、肌表面には汚れが付着してしまいます。
まずは汚れをしっかりと落として肌表面を清潔に保ちましょう。
皮膚のpHに近い弱酸性(アミノ酸系などの界面活性剤)の洗顔料を選択することが推奨されます。
②刺激から皮膚を保護する
スキンケア時の刺激を見直しましょう。
目が荒いタオルを避ける
タオルの繊維が刺激になることも。肌に優しい素材、不織布ガーゼやクレンジングタオルなどを選択し、できる限り皮膚への負担を軽減させてあげましょう。
擦らず、優しく押さえる
顔の水分を拭き取る時や化粧品を塗布する時は、お肌を擦らず優しく押さえましょう。
③保湿
とにかく保湿(補水)!
軽微な刺激が肌荒れを悪化させる可能性があるので、敏感肌向けなどの低刺激成分のアイテムを選択する。ノンコメドジェニックテスト済みのアイテムを選ぶのもよいでしょう。
④不足している皮脂を補う
肌が乾燥した状態では皮膚本来のもつ保護機能が発揮されないため、化粧水で角質層へ水分を補水した後は、皮脂成分を含む保湿剤(乳液、クリーム等)でしっかりと蓋をしましょう。
⑤シンプルケアに変える
肌が敏感な状態では、様々なスキンケア商品を繰り返し塗布することも負担に。アイテム数を減らして、肌に触れる機会を減らしてあげましょう。
⑥日焼け対策
紫外線は肌へのダメージとなるので、肌状態関係なく紫外線対策をしましょう。
日焼け止めはノンケミカル(紫外線吸収剤フリー)やアルコールフリーなど肌への負担が少ないものがおすすめです。
スキンケアで治らない時は…
肌荒れや乾燥、ニキビは皮膚の病気です。
日常のスキンケアで改善が見られない時、炎症やただれがある時などは、早めの皮膚科受診を検討してください。
まとめ
終わらないコロナ禍で毎日対応にあたっている方々、本当にお疲れ様です。
N 95だけでなく、避けられない肌へのダメージは日常にたくさんあると思います。
圧迫創傷や肌荒れに悩んだ時、この記事が日々のスキンケアの参考になると嬉しいです。
【参考】
※1:クリティカルケアにおけるスキンケアと医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)の予防(Expert Nurse 2018年5月号別刷り)
※2:3M 医療従事者のためのN95マスク適正使用ガイド
※3:COVID−19感染対策 N95マスクによるMDRPU予防(日本褥瘡学会 危機管理委員会 2020年5月12日発行)
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