アピラボbyメーキャップラバーズ

美容はわたしの鎧?それとも窓?

今日はちゃんとメイクしたほうがいい気がする

 

そんな朝があります。

 

それは、気合いを入れたい日かもしれないし、もしかしたら、少し身構えている日かもしれません。

 

心理学の言葉を使うなら、美容には自己防衛としての役割と、自己開示としての役割があります

 

心理的安全性と美容

  

鎧としての美容

 

——なぜ踏み込まれたくない日に、メイクに力が入るのでしょうか?

 

人に踏み込まれたくないと感じる日は、心のどこかで「これ以上、刺激を増やしたくない」というサインが出ていることが多いように思います。

 

このようなとき、人は無意識のうちに自分でコントロールできる部分を確保しようとします

 

予定や相手の反応、場の空気は、自分ではどうにもならないことが多いものです。

 

けれど、顔や身だしなみは違います。

 

自分の手で整えることができます。

 

そのため、不安や警戒心が高い日ほど、いつもより丁寧にメイクをしたくなることがあります。

 

きちんとしたメイクは、「私は準備ができています」という自分自身への確認でもあります。

 

同時にそれは、他者との距離を保つための非言語的な境界線にもなります

 

隙のない外見は、「これ以上、踏み込まなくても大丈夫です」という静かなメッセージを含んでいるのかもしれません。

 

心理学的に見ると、これは過剰な防衛ではなく、心理的安全性を外側から補強する行為と考えられます。

 

鎧としての美容は、心が弱っている証拠ではありません。

 

むしろ、自分を守ろうとする力がきちんと働いている状態だと言えるでしょう。

 

窓としての美容

 

——なぜ心理的安全性があると、自己開示しやすくなるのでしょうか?

 

心に余裕があり、安心できているときには、人は「守る」よりも「開く」方向に向かいやすくなります。

 

心理的安全性とは、「失敗しても大丈夫。」、「このままの自分でも受け入れてもらえる。」そう感じられる状態のことです。

 

この感覚があると、心や身体の緊張がゆるみ、過剰な警戒が少しずつ下がっていきます。

 

その結果、「よく見せなければならない」という力みが減り、評価のための装備を一時的に外せるようになります。

 

ナチュラルなメイクや、作り込みすぎない身だしなみが選ばれるのは、そのような状態の表れかもしれません。

 

これは手抜きではなく、自己開示が可能な状態に近づいているサインです。

 

窓としての美容は、誰かに近づいてほしいという合図というより、「今の自分を隠さなくても大丈夫です。」という内側の安心感の表れだと考えられます。

 

自己開示は、勇気だけで起こるものではありません。

 

安心できる環境と、安心できる身体感覚がそろったときに、自然と生まれるものなのです。

鎧と窓を使い分けるためのヒント

 

鎧として美容を使いたいときのヒント

 

今日は自分を守りたい日だと気づいたら、まず大切なのは、「守りたい気分」を否定しないことです。

 

踏み込まれたくない日があるのは、弱さではなく、心がきちんと状況を察知しているということでもあります。

 

そのような日は、自分でコントロールできる部分を意識的に整えることが助けになります。

 

 

・いつもよりベースメイクを丁寧にしてみる

・眉やアイラインを少しだけはっきりさせる

・「今日はこれ」と決めた定番の服を選ぶ

 

 

ポイントは、他人からどう見られるかよりも、自分が落ち着くかどうかを基準にすることです。

 

鎧としての美容は、完璧である必要はありません。

 

「整っている」という感覚が自分の中に戻ってくることが大切です。

窓として美容を使いたいときのヒント

 

——少し開いてみたいと感じたら

 

自己開示をしたいときに大切なのは、どこまで開くかを自分で決めることです。

 

すべてをさらけ出す必要はありません。

 

窓は、少し開いているだけで十分です。

 

 

・作り込みすぎないメイクを選んでみる

・肌の質感や心地よさを大切にする

・「今日はここまででいい」と途中で手を止めてみる

 

 

ここでのポイントは、安心できる範囲を超えないことです。

 

開示は、がんばってするものではありません。

 

安心があるときに、自然と起こるものです。

 

「今日は、このくらいなら大丈夫です」

 

そう感じられるラインを探すこと自体が、自分への信頼につながっていきます。

まとめ

 

鎧としての美容も、窓としての美容も、どちらも心の状態を映しています。

 

どちらが良い、悪いという話ではありません。

 

大切なのは、今の自分が何を必要としているのかに気づけていることです。

 

守りたい日もあれば、少し開いてみたい日もあります。

 

その選択を自分でできているなら、美容はきっと、あなたの心の味方になってくれるはずです。

 

よろしければ、以前寄稿した記事もあわせてご参考に。

 

お化粧による心理的効果

この記事を書いた人

菊池 恵未

臨床化粧療法士®/精神保健福祉士/公認心理師
2012年より障害福祉施設にて精神障害者を対象としたソーシャルワークに従事。容姿に対する悩みやコンプレックスを聞くうちに、化粧を通じて自分に自信を持つことができるのではないかと考え、2018年に臨床化粧療法士®資格を取得。「見た目に自信を持つ」ことをテーマにメイクプログラムなどを提供。公認心理師としてカウンセリングを実施中。

資格講座の申し込み

資格講座の申し込み

「臨床化粧療法士®」になる為の資格講座やワークショップを随時開催しています。お化粧のちからで、より多くの方がいきいきと自分らしく活動できる社会を目指します。

コメントは受け付けていません。

Pocket

関連記事RELATED ARTICLE

お化粧のちからで目指す社会貢献のかたち。臨床化粧療法士®資格講座受付中。

お申込みはこちら お申込みはこちら arrow_right
keyboard_arrow_up