おでこの皮むけ・粉ふきの理由が判明!?
臨床化粧療法士®のYOKOです。
2023年の年明けです。
今年の冬は各地で大雪が降り、寒い日々が続いていますね。
皆さんの住んでらっしゃるところは、大雪は大丈夫でしょうか?
冬は湿度の低下とともに乾燥が気になる季節ですね。
今回は四半世紀もの間、乾燥だと考えられ続けていた「おでこ」の粉吹きの理由が判明したようなので、その情報をシェアいたします。
私のおでこの粉吹きが治らなかった理由
私が本格的にスキンケアに目覚めたのが20代前半頃でした。
超がつくほどの乾燥肌に加え、皮膚が薄いのが悩み。
そしてなぜかおでこの皮むけと粉吹きが悩みで、保湿力の高いクリームや高価な美容液をつけても一向に治らなかったのです。
皮膚科に行くとアトピー皮膚炎と診断され、ステロイド剤を塗る毎日。
それでも何年も「おでこ」だけ皮むけと粉吹きは改善しませんでした。
その後は、脂漏性皮膚炎と診断され、抗真菌薬を「おでこ」に塗る日々。
それでも改善されず・・・。
粉吹きの理由はなんだったのか!?
それは、ずばり「ターンオーバー」の乱れだったのです。
ターンオーバーと肌荒れの関係性
ここで、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、皮膚のしくみについて簡単にお話させていただきます。
表皮の細胞はケラチノサイト(角化細胞))メラノサイト(色素細胞)などから成り立っており、その中でもケラチノサイトが約95%を占め、皮膚のタンパク質であるケラチンを作っています。
このケラチノサイトは生まれてから死ぬまでに基底(きてい)細胞、有棘(ゆうきょく)細胞、顆粒(かりゅう)細胞、角質(かくしつ)細胞4回名前を変化させます。
同じ細胞なのに成長するにつれて名前が変わるなんて、まるで歌舞伎役者みたいと思うのは私だけでしょうか。
生まれたばかりの基底細胞が分裂を繰り返しながら有棘細胞⇒顆粒細胞へと育っていき、最後は死んだ角質細胞となって剥がれ落ちていく。
基底層で細胞が生まれ、角層になって垢として剥がれ落ちるまでの一連のプロセスのことをターンオーバーといいます。
簡単に言うと、表皮では日々新しい細胞が生まれては死んでいくということが起こっているのです。
ターンオーバーの周期は4週間から6週間と言われていますが、年齢を重ねるごとにさらに遅くなっていくとも言われています。
ターンオーバーで見落とせない2つのプロセス
ターンオーバーは上記の通り、「細胞が生まれてから角層になって剥がれ落ちるまでのプロセス」です。
しかし、この過程の中には性質的に全く異なる2つのプロセスが含まれています。
それが、細胞の分化と角層の剥離です。
細胞の分化細胞の分化とは、角質細胞たちの集まる角層(角質層)の状態が極めて重要で、角層の状態が整っていないと(乾燥している、バリア機能が乱れている)本来は基底細胞⇒有棘細胞⇒顆粒細胞と約2週間かけて正確な角質細胞に育っていくはずのところが・・・
「角層の状態がよくないから早く角層を助けなければ!」
ということで、その工程を吹っ飛ばすため未熟な細胞が角層に並んでしまい、バリア機能が弱く敏感肌になる、乾燥が進むなどの悪循環に陥るのです。
角層の剥離
一方で角層の剥離とは、その名の通り角層が剥がれ落ちることです。
角層まで上がってきた細胞は互いに非常に強く接着しており、これが切り離されることで垢となって剥がれていきます。
この角層剥離が停滞してしまうと鱗屑(りんせつ)と呼ばれる粉吹きのような現象が起こります。
理由としては、
などがあげられていますが、
乾燥などにより角層の水分量が低下すると、カリクレインなどの角層の剥離に関与する酵素の活性が落ちてしまいます。
これによって角層の剥離が停滞し、ターンオーバー速度が低下することがわかりました。
カリクレイン5という酵素が角質剥離に関与しているとのことです。
カリクレイン5とは?
角層の水分量が低下するとカリクレイン5の酵素が減少してしまい、それによって角質剥離が行われず皮膚に残っている状態、これが落屑といって白く粉を吹いて皮むけしている状態になるのです。
また、富士フィルムさんが、角層にメラニンが多いとカリクレイン5が減少することを見出し、マロニエエキスにカリクレイン5を増加させる作用を見出し、角層が剥がれやすくなることを発見しました。
これを美白化粧品に応用し、メラニンの制御とともにカリクレインを増やす効果のある化粧品を開発したとのことです。
(2020年11月24日日本経済新聞より)
富士フィルムさんのマロニエエキス配合化粧品はまだ試していませんが、私のおでこの粉吹き、皮むけはレチノール配合の化粧品を使用することで改善されたようで、今では少し自慢なピカピカのおでこになりました。
レチノールにも角質剥離作用があります。
まとめ
以上、正しい周期で角質が剥がれるということが、美肌を目指すうえでいかに重要かということがわかりました。
最後までお読み頂きありがとうございました。
ここでは、美容師専門学校で皮膚科学講師を務める私が、実際に自分で試した情報をシェアしてゆきたいと思っております。
ぜひ皆さんもツヤツヤおでこ美人を目指してください。
2023年が皆さまにとって美肌とともに美しく素晴らしい1年になりますように。
参考文献
富士フィルムニュースリリース
シミの原因となるメラニンが角層に滞留するメカニズムを解明 「マロニエエキス」に角層のメラニン排出を促す効果を発見 | 富士フイルム [日本] (fujifilm.com)
NatsuNatsuブログ(大手メーカーで働く研究者。 旧帝大大学院卒。生命科学系の修士。皮膚科学が専門)
資格講座の申し込み
「臨床化粧療法士®」になる為の資格講座やワークショップを随時開催しています。お化粧のちからで、より多くの方がいきいきと自分らしく活動できる社会を目指します。
前の記事へ
次の記事へ